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【第1部】 第13話 親友の思惑①

last update Last Updated: 2025-06-24 17:01:22

 昨日の出来事のおかげでなかなか寝られなかったせいもあり、私は眠たい目を擦りながら、居間へと向かう。

「流華、おはよう!」

 部屋の前で、満面の笑みを向けたヘンリーが私をニコニコと見つめてくる。

 昨日のことなどなかったかのような、爽やかな笑顔だ。

 私はキスのことを思い出してしまい、恥ずかしくてヘンリーから視線を外した。

「お、おはよう」

「おはようございます、お嬢」

 ヘンリーの背後から、唐突に笑顔の龍が現れ、私に挨拶してきた。

「お、おはよう……」

 なんだか気まずくて、私は戸惑ったような返事になってしまった。

 龍の笑顔は一瞬で消え去り、彼はヘンリーを真顔でじとっと見つめる。

「おはよう、ヘンリー」

「おはよう、龍」

 恐ろしい気を放つ龍に気づいているのかいないのか、ヘンリーはいつも通りの笑顔を龍に返していた。

「流華、ご飯食べよっ」

 ヘンリーが私の手に触れようとした。が、私は反射的にその手を避けてしまった。

「あ……」

「流華?」

 ヘンリーが悲しそうな表情になる。眉を八の字に曲げながら私を覗き込んでくる。

「さ、ご飯食べよ」

 ヘンリーの視線から逃れるように、私はさっさと自分の席へ座る。

 私、どうしちゃったんだろう。

 ヘンリーに普通の態度が取れない、なんだか恥ずかしくて避けようとしてしまう。

 こんなの駄目だよね、ヘンリーに悪いよ。

 きっとまたヘンリーを落ち込ませてしまう。

 グルグルと頭の中を思考が巡っていく。

 私はその堂々巡りを止めるため、一心不乱に朝ご飯を食べることに集中した。

 私は机に突っ伏しながら、「はあーっ」と大きなため息をついた。

「ねえ、流華ってば」

 いきなり貴子の顔がドアップに迫り、驚いた私の体は後ろに大きくのけぞった。

「わあ! な、何?」

「何、じゃあないよ。さっき
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